古蔵からビール醸造所へ
尾道町家を思わせる小さな入口から奥へと続く通路の先に、突然現れる大きな梁のある古蔵。まるでヒミツの隠れ家のような醸造所が尾道ブルワリーです。
1894年築の古蔵は元はガラス問屋の蔵でしたが、その後は現在に至るまで長い間使われていなかったようです。
千葉から尾道に移住してビール造りの場所を探していた私たち夫婦は、人づてにこの古蔵と巡り合い、大きな梁と歴史ある分厚い土壁に感銘を受け、ここにビール醸造所を作ろうと決めました。
築120年の老朽化した古蔵をリノベーションしてビール工場にするのは容易ではなく、長年積もった梁の埃を落とし、土壁にあいた穴をふさぎ、長い廊下にガス・水道管を這わせて表につなぎました。元の雰囲気を壊さずビール工場にするために天井の梁や柱にはガラスコーティングを施し、黒ずんだ土壁には藁を発酵させてつなぎにした水に強い土佐漆喰を塗りました。黄味帯びた色の漆喰は年を経るごとに白くなっていくそうです。
Our story
醸造するのは、佐々木真人(1962年生まれ)と佐々木真理(1963年生まれ)の夫婦です。2人とも東京生まれの千葉育ち。食品会社で働いていた真人は過労のため体調を崩し、会社で働くことだけが仕事ではないのではと考えるようになりました。一方、旅行会社で働いていた真理は3・11から東北地方の観光地が立ち直っていく様をみて地方創生に関心を持つようになりました。
会社員生活で挫折を味わった私たち夫婦は、定年を目前にして自分たちが作った何かで地域を盛り上げることができないだろうかと考えるようになりました。「しまなみ海道をサイクリングしたときに風景が印象的だった尾道で大好きなビールを造るのはどうだろう?」移住相談から始まった人とのつながりの連鎖でここだと確信した私たちは、会社を辞めて2020年8月に千葉から尾道へ移住しました。
これからはつながった人たちを巻き込んで、私たちの好きなスッキリしたおかわりしたくなるような「メイドイン尾道」のビールを造って尾道を盛り上げていきたいと思っています。私たちの第二の人生のスタートです。